主訴は、『私はどんな仕事でお金を稼いだらいいのだろうか』。
クライアントと初めてお会いした時に、「屈託のない笑顔」というのは、この方の笑顔のことをいうんだと思いました。
これまでの人生を聴かせてもらうにつれて、その屈託のない笑顔の奥には、すさまじいご経験がありました。そんなことを全く感じさせないところに、クライアントの強さを感じます。
丁寧に記載していただいたライフラインチャート轍を、お話しいただくところからキャリアコンサルティングが始まります。
数回の引っ越しというイベントは、クライアントの気持ちを天国へも地獄へも揺り動かすものでした。
学校の勉強はなかなか思うように伸びず、「つまらない」というワードが頻繁に出てきました。
「なんで、こんなことをやらなきゃいけないんだろう」
「そういうのはどうでもいいのにな」
なんてことを考えながら、ぼーっと黒板を見ている日々。
自ずと授業にも身が入らなくなり、成績にもそれが現れてきて、このころから自身を「劣等感の塊」だと思うようになってきます。
この頃に出会っている先生を、クライアントは幼いながらにも、客観的に観察と分析をしています。
クライアントにとって、つらい想い出が多い先生でしたが、先生に対して否定的な感情を持つのではなく、客観的にその人の状態を見ていました。
これは、クライアントの後の「強み(才能)」に大きく関わる素質だと、後から気づきました。
この後の引っ越し先では、見るもの全てが美しすぎて、かつ楽しすぎて、クライアントは幸せのど真ん中にいました。
そして、ここで出会った担任の先生によって、クライアントは「劣等感の塊」から抜け出します。
自分に「頭の悪い子ども」というレッテルを貼っていましたが、それが違うこと、そして自分の持っている能力をどのように伸ばせばよいかを、導いてくれる先生でした。
徐々に、このレッテルが剥がされ、クライアントは「劣等感の塊」から抜け出しつつあります。
このタイミングでクライアントから発せられた言葉の多くは、「認めてくれる」「私の表現力を買ってくれる」「リスペクトしてくれる」という、受容されている言葉でした。ここは決して見逃してはいけない大切な言葉です。
ご自身で「自分はツイていると思う」と話されていましたが、望む結果をしっかりと努力をしてきたからこそ、手に入れています。
それによって、子供の頃から大好きだと言っていた「美しい世界」で、仕事を任されて、考えて、行動して働くことができていました。
その行動にも、必ず「なぜそうするのか?」という根拠が明確で、行動することでチャンスを引き寄せていたんだと思います。
子ども時代からの様子を聴かせてもらっていると、「自由に生きる」ことはクライアントの充実した生活の必要条件かもしれないと考えつつ、結婚後の話しを聴くことで、それが私のなかでは「確実」に近いものとなりました。
ただし、これは私の判断であって、クライアントと同じかどうかは、この面談では確認していません。
困難にぶつかった時に、すぐに助けの手が近くにあったということからも、クライアントの人徳があることがうかがえます。
社会人時代の話しでは、ネガティブな言葉や、「劣等感の塊」という言葉は一切出てきませんでした。それくらいクライアントはこの時、今を生きることにとても一生懸命だったと思います。だからこそ、「未来」の視点が出てきていなかったことに、少し不安をおぼえるお話しでした。
結婚、妊娠、引っ越しなどのライフイベントを経て、クライアントの状態は、恐らく人生の最下層であろうところまで下ちていきます。
ここでのキーパーソンは、家族、ママ友たち、ママ友の夫たちです。
まず、このころから生活スタイルが変わり、住居も変わり、関わる人も変わったことで、クライアントにとっては、苦労という一言では言い表せないほどの苦労の連続で、負のスパイラルに巻き込まれているとしか思えないようなできごとに見舞われていきます。
「どうしたら良いか分からない状態」に陥り、ご自身も身体を壊してしまいます。
特に、クライアントの本記事のテーマでもある「薄っぺらい人生」を痛いほど感じる経験を、この頃にすることになります。
「専業主婦」と「働く主婦」の境界線です。
クライアントが「専業主婦」だった頃、「働く主婦」からの「私は働いているから〇〇(PTAの役割など)はできない」という、「働いていること」が優遇されているかのような空気に違和感を感じます。
同時に、「専業主婦」は社会に貢献していないかのような周囲の発言に悔しさも感じます。
クライアントの肩書である「専業主婦」は、前述した登場人物たちからは、認められる肩書では無かったようです。役に立てていない自分を、クライアントは「自分はゴミだ」と思うようにもなっていきました。
そこから抜け出せたのは、PTA役員になり、難しい役割もこなしていくなかで、役員の仲間の一人から、「なんでもできるのね」と優しいまなざしで褒めてもらえたこと。同時に、やってみたら意外とできるとご自身で気づけたことも大きいです。
その後追い風が吹くように、友人から紹介された資格に興味を持ち、合格を勝ち取ったことで、前述の登場人物たちからも「よくやったな」「すごいね」と褒めて、認めてもらえます。
そして、いよいよ仕事を見つけて自分で稼ぐようになります。
「私も仕事があるから」と言えるようになったことで、クライアントは自分の人生に自信を取り戻していきます。
ここで誤解をしてはいけないのは、
「専業主婦」が社会で認めてもらえず、「働く主婦」が認めてもらえる、という構図がクライアントの中に成り立っているのではないということです。
クライアントの前提には、「社会と関わっていないことが、自分にとって薄っぺらい人生」であるという定義があります。
さらにかみ砕いていえば、「社会に関わってお金を稼げないことが、自分にとって薄っぺらい人生」である、ということです。
それが叶えられていない自分の立場がたまたま「専業主婦」だったこと、そしてそこに苛立ちや悔しさを覚えていたのかもしれないし、それを叶えている周囲の「働く主婦」に、もしかしたら羨ましさもあったかもしれません。
実は「専業主婦」とか「働く主婦」とかは、関係ないと私は思っています。
クライアントの苛立ちや悔しさの原動力ともなっているものは、「認められていない」こと。
「認められる部分があるのに、そこに気づかれず認められていない」ことです。
これは、クライアント自身にも向けられていることでもありますが、クライアントの周りにいる人、 ~恐らく認められていなくて悔しい思いや悲しい思いをしている人~ にも、向けられていました。
「専業主婦に何ができるの?」という男性たちの言葉。
パートさんへの「それだけやっておけばいいよ」という、社員の言葉。
クライアントは、そのように言われている専業主婦の方や、パートの方の能力や才能を見つけています。
「その能力や才能をなぜ、周りの人たちは気づかないのか。もっと活躍できる人材のはずなのに活かしてくれないのか。自分はどうしたらこの才能を世に知らせることができるのか。」
この面談でいちばんの力強い、気持ちの入ったメッセージでした。
クライアントは子ども時代から、周囲の人をよく観察していましたが、それがまさにクライアントの才能です。その人のいいところにフォーカスして、才能を見つけてあげることができる方です。
次の悩みは、それを見つけた後に、その才能の活かし方を見つけることです。
考え方のヒントとなるフレームをひとつ、ご紹介をしてコンサルティングを終えました。
感情をたくさん吐き出してくれたことに感謝いたします。
そして、今日のコンサルティングが、クライアントの次の一歩になってくれますように。
キャリアコンサルティング6ヵ月以上経過後に、その後の様子をお伺いしました。
Q コンサルティング後、変化を感じましたか? また、その変化を感じた度合いは?(4段階評価)
Q どのような変化でしたか?
そんな訳で、いろいろなことが自分なりに上手くできたと思えたことや、家族から私のことを丸ごと受け止めてもらえたことで、今の私はとても幸せです!!
10か月前の自信のない自分はどこかに飛んで行ってしまいました!
10か月前はこんな風に感じていたのかと、たった10か月前のことなのにビックリしたのと、自分の成長が感じられ、凄く嬉しかったです。
【ご意見お待ちしています】
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社名
所在地
TEL/FAX
設立
代表取締役
株式会社シールズ
〒108-0022 東京都港区海岸3-19-2
マリンシティダイヤモンドパレス716号室
03-3454-4339
2007年3月
澤田玲奈
事業内容
・人財開発コンサルティング事業
・不動産コンサルティング事業
・クラウドソリューション開発事業